日本人の色彩感覚と住まい
日本人の色彩感覚が最も洗練されていた時代は江戸時代だったのではないでしょうか。俗に四十八茶百鼠と言われるほど微妙な色合いを見分け色名を付けていました。しらちゃ白茶・きんちゃ金茶・うめちゃ梅茶・きからちゃ木枯茶・えびちゃ海老茶・・・、ぎんねず銀鼠・すねず素鼠・はいざくら灰桜・りきゅうねず利休鼠・なんど納戸ねず鼠・ふじねず藤鼠・・・など、その豊かな色彩感覚に驚かされます。その感性を育んだのは、四季や気候風土は勿論ですが、木や土・紙など、年月と共に色や表情を変える住まいの環境も影響したのではないでしょうか。
その頃の民家に入ると、柱や壁・床などの色合いが障子を透けて入る光と陰で変化し、繊細で豊かな色彩が溢れていることに気づかされます。
しかし、現代の家づくりでは壁や天井は白いビニールクロスに代わり、床や建具・外壁などもよく見ると印刷だったりする無機質な住まいがだんだんと増えて来ています。
私は、木や漆喰などの自然素材がつくる微妙な色あいや、障子を透けて入る光と陰などを見て育った子供は色彩感覚が豊かで優しい大人になるのではないかと考えています。
左から
納戸鼠(なんどねず)
利休鼠(りきゅうねず)
灰桜(はいざくら)
木枯茶(きからちゃ)
金茶(きんちゃ)
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