カテゴリー「つばめ母さんの建築虫めがね」の48件の投稿

2007年3月30日 (金曜日)

ありがとう

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2年間にわたり、つばめ母さんを読んで頂きありがとうございました。いろいろなことを取り上げて少しずつ書いてきましたが、十分とは言えず伝わりにくい部分もあったかと思います。

私のモットーは近くの山の木と近くの山の土で家を作ること、家族の心と体の健康や環境面から考えて一番いいと思うからです。

これからも、誠実な仕事をし、人にやさしい家を作り続けたいと思っています。

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今後は、現場見学会などのお知らせでまたお目に掛かれる日もあると思います。今後供どうぞよろしくお願い致します。

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2007年3月16日 (金曜日)

嶺北(れいほく)

早目浦ダムは皆さんも良くご存知ですね。ダムは高松から高速で1時間半の距離、高知県の嶺北地域にあり、土地の88%が森林という山村です。私の設計する家に欠かせない杉材は、ここから運ばれて来ます。嶺北には吉野系の杉が多く、ピンク色の赤身材が美しい木です。今まで杉は弱いと考えられ、その加工の難しさもあり敬遠されてきました。しかし、強度を計測してみると杉は決して弱い木ではありませんし、その暖かい木肌はどんな木材にも勝ります。マンションなどのリフォームで床や壁に貼ることも可能です。

住む人の健康と、四国の山の環境を守ることに繋がる、水源の森の木をあなたのお部屋にもぜひ使って欲しいと思います。

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2007年3月 2日 (金曜日)

土壁ネットワーク

耳なれない会ですが、この会は、香川県内の伝統的な工法としての竹小舞土塗り壁の材料や構法などを新たな視点から見直し、次の世代に引き継いでいく活動をしています。メンバーは、設計者、工務店、職人さん、材料店さんなど30数名です。

昨年、会では香川県建築士会の助成を得て四国職業能力開発大学校との共同研究を実施しました。県内各社の壁土の強度試験を行い、地震に対してどれほどの強さがあるのかを確かめる為に今年2月には幅 1820高さ2730の土塗り壁の実大破壊実験を行いました。(報告会は3/31大学にて実施します。)伝統的工法の土壁はきちんと施工すれば、変形に対してとても粘り強く、地震から人の生命を守るという大きな役割をきちんと果たすものであることが実験により実証できました。

他県では職人がいなくなり小舞の土壁は出来ないとも聞きます。香川県には、まだまだ腕のいい職人さんがいらっしゃいます。土壁は、乾燥が大切なので工期が長くかかりますが、一生住み続ける家ですから数ヶ月余計に待つことを楽しんで欲しいと思います。美しい土壁と、家族の安全や健康が手に入れられるのです。そしてこの壁を息子や孫の時代にも選択肢として残して欲しいと思っています。

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2007年2月 9日 (金曜日)

京都の町家

京都の町家は日本家屋の中でも得意な形状をしており、うなぎの寝床といわれる様に間口は細く、奥に長い建物がたくさん寄り添い合って建てられています。この建物は京都の景観や文化的な意味において、無くしてはならない物です。

しかし、町家は現在の建築基準法や耐震基準には到底合致していません。古くなり建替え出来なくて壊された物も多いと聞きます。そこで、京都市は 2003年より、日本建築構造技術者協会の検証の元、独自の耐震診断手法を開発しました。

「京町家耐震診断士」を養成し、診断費用も市が負担する制度を来年度に創設します。耐震改修費も一般住宅よりは多く、1戸あたり90万円を助成するようです。地域の景観や文化施設を守る為には、行政の積極的な取り組みはとても重要なのです。

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2007年1月12日 (金曜日)

チタンの話

いぶし瓦屋根の軒先に銅板の一文字葺きをした家はとても素敵な佇まいですが、最近になり問題が発生するようになりました。それは、瓦を伝い流れる雨水が銅板を腐食させ、穴が開く現象がおきているのです。原因は酸性雨に含まれる酸がいぶし瓦の成分を溶かし腐食させているのではといわれています。腐食した銅板の成分が溶出した雨水は苔や微生物を殺し、浄化槽に流れ込めばバクテリアが死滅して浄化機能も無くなってしまうのだそうです。

そこで大工棟梁、木下孝一氏は金閣寺茶室建設の際、メーカーと協力してチタンの屋根材を開発し用いました。チタンは高価で加工も難しい素材ですが、半永久的に腐食や劣化をおこさず酸性雨にも大丈夫です。数百年先まで見越した建物には、伝統に先進の材料や技術を加える匠の情熱によってつくられているのですね。

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2006年12月26日 (火曜日)

頭の良い子に育つ家

ある雑誌に東京近郊の企画住宅として、頭の良い子が育つ家のモデルハウスが掲載されていました。どのような家なのか?興味ありますよね。有名私立中学の合格者の自宅を調査し、結果を設計に反映させているようです

1.子供が部屋にこもりきりにならず、家族の気配が感じられる開放性が必要。吹き抜けを囲むように部屋を配置し、扉にはガラスを使う。(情報が空間を通して伝達しやすい・親の知識が子に伝わりやすい。

2.勉強の拠点になる場所(辞書や文具のある所)は必要ですが家族と接触しながら、リビングやダイニングを移動して勉強できるようにする。(対話を促す)

3.落ち着ける空間として、小さな書斎のようなスペースを複数作る。(視覚的な変化が子供の暮らしに刺激を与える。)はたして、効果のほどはいかがなものなのでしょうか。

この家では、子供への接し方や子供に伝える知識が、親の側にも大いに求められそうです。

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2006年12月 4日 (月曜日)

家作りのエネルギー

家で使うエネルギーだけでなく、今回は家を作る材料のエネルギーも考えてみましょう。 香川県で建設されている木造住宅の木材は平均85%がロシア、カナダ、東南アジアなど諸外国から輸入されたものです。樹種も多種多様なものがあります。又、ビニールクロスなどの工業製品は、アジア諸国の人件費の安い国で生産し、日本に運んで来ています。少しでも安く、と言う市場原理からです。しかし、地球全体から考えてみると、地球の裏側から物を運ぶために化石燃料を燃やし、たくさんのCO2を発生させているのはではないでしょうか。近くの山の木や和紙を使うことは、エネルギーの浪費を抑え、リサイクル可能な材料はCOの発生も少ないと思います。家作りに使われる材料の選択は建て主の意思で決められます。エネルギーのことも少し考慮に入れて選んで欲しいと思います。

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2006年11月24日 (金曜日)

住まいのエネルギー

住まいのエネルギー源の種類としては灯油、ガス、電気、太陽光などの多様な種類がありますが、昨年香川県ではオール電化住宅にされた方が4420件あり、新築改築も含めた件数の%を占めているそうです。便利さと安全性で電気を選ばれる方が多いということでしょう。しかし、地球環境から考えた時、本当に電化住宅は地球に優しいのかは疑問の声もあります。

NGO気候ネットワークは、オール電化住宅が増えたことによって二酸化炭素CO2の排出量が増加しているとの報告書を出しています。東京電力管内では一世帯あたりのCO2排出量が、一般住宅より69電力管内で50%、関西電力管内は29%増という結果になったそうです。原因としては、電気を作るための一次エネルギーが多く必要であることに起因し、発電や送電のロスもかなりあります。 環境への影響を正確に評価するには、コンセントの向こう側も考える必要がありそうです。このまま電化住宅が増え続け、原子力発電に依存する率も増える事を考えると少し怖い気がします。

地球温暖化防止は省エネルギーがもっとも大切なことですが、日照時間の多い香川では太陽の光を利用するなど、自然エネルギーの利用も含め、もっと考えていく必要があるのではないでしょうか。

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2006年11月10日 (金曜日)

世界にひとつ

 自宅を設計事務所に依頼される方が最近少しずつですが増えてきているようです。私は、木造住宅を専門に設計していますが、設計監理の中でのこだわりとして実施していることがいくつかあります。
1.オリジナルな物を製作して使う。2.板材などを施主と一緒に見に行き選定する。3.近くの山の木や材料を使う。それと、建築工事が始まった後、すべてを工事業者任せにするのでなく、施主が自分で出来る作業には、参加してもらうようにしています。例えば、小舞掻き、外壁の板の柿渋塗りや床板の自然塗料塗りなど、体験すれば愛着も沸きますし、メンテナンスの方法もわかります。

家を持つことはとても大きな事業です。自分の住まいが出来上がることを思い切り楽しんで、人に自慢できる「世界にひとつ」の物語を作って欲しいと思います。

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2006年10月27日 (金曜日)

住まいの耐震性

建物の耐震性能は、100年に一度あるかないかの大地震と中小の地震とは分けて考えられています。中小の地震では建物自体に被害が無いように、そして大地震の際は建物に損害があっても人の生命と財産は守ると考えています。木造住宅では、ほとんどの場合、確認申請時に軸組み計算を行います。地震力や風圧力に対して、筋交いや構造合板、土壁などでの耐力壁がバランスよく配置されているかをチェックします。これにより、ある程度の地震には耐えられるようになります。しかし、法律で規制される以前の建物は、この基準を満たせていないものもあります。
 ご自分の家を見てみましょう。コンクリートの基礎にヒビが入っていないでしょうか。地盤が下がって傾いたりしてないでしょうか。

地盤の良くない地域にお住まいの方は特に気をつけましょう。南海地震は30年以内に確実に起こると言われています。

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